録音機能付き聴診器を自作してみた!(シャント音・心音・肺雑音にオススメ!)

透析をするうえでシャントの管理は重要とされています。

一番簡単な方法で聴診ということをしますが、人の耳は年齢によって感じ方がバラバラで主観的評価の為たびたび透析記録でも統一した所見になっていなかったりします。

そこでだれでも統一の評価が行えたり、教育の為シャント音を記録してスタッフや患者さんと共有しようと思いました。

それを行うには「シャント音の録音」が必要となり、録音機能付きの電子聴診器欲しいなーとネットで値段を見てみるとただの臨床工学技士では手が出せない値段している…

絶対予算要望出しても通らない・・・だったら自分で作ることはできないだろうか?と思い「録音機能付きの聴診器」を自作してみました。

 

電子式の1/10の予算で作成!自作録音機能付き聴診器

実は今回紹介するのは2代目で、初代はこのような形になっていました。

初代録音機能付き聴診器

初代の材料は、古くなったコンソールのシリコンチューブφ5.0と8.0・コンソール部品(φ8.0のT字ジョイント管)・穿刺針のキャップ・スマートフォン購入の際についてきたイヤホンマイクで初代録音機能付き聴診器は作成されていました。

なんでも屋ME
イヤホンマイクを使うアイディアはどこかの個人ブログ(獣医学部の学生さん?)でした。

 

 

初代の完成度はそれなりに良かったのですが、ただ問題点として3.5㎜プラグイヤホンジャックしか対応できずイヤホンマイクもappleのものしか取り付けができない点でした。

アダプターをかませれば、Lightningケーブルでも対応可能ですが耐久性的にも問題がありそうでした。

そんな中、Twitter上でそれが克服されている自作録音機能付き聴診器の画像を発見しました!

 

 

えるにーにょさん作の方が取り回し優れてそうだし、パーツ数も少なそう。

何よりLightningケーブルでも対応可能だ!ということで、今回初代の改良版を作製しました。

 

えるにーにょさん掲載許可ありがとうございます!m(_ _)m

※2021/9/22時点でTwitterを辞められているようです・・・

 

2代目録音機能付き聴診器の作り方

使用する材料
  1. 3.5mmプラグイヤホンジャックのイヤホンマイクもしくはEarPods with Lightning Connector(Apple)

    なんでも屋ME
    iPhone購入の際についてきた物を使用しました。
  2. シリコンチューブφ5.0と8.0
  3. 使わなくなった聴診器(②のシリコンチューブの径に合った物を使用。高級すぎる物はチューブが太いので合わないかも…)
  4. 木工用ボンド
  5. 絶縁テープ(100均ビニールテープでもOK)

今回使用したものは全部でこれだけでできます。

 

作成手順
  1. イヤホンマイクのマイク部カバーを精密ドライバーなどを使って剥がします。(割れやすいので注意!
  2. イヤホン部など余分なところをニッパーでカットします。
  3. φ5.0チューブとφ8.0チューブとを連結させその中にイヤホンマイク部を挿入します。(留置位置はあまりギリギリにならないように
  4. 使わなくなった聴診器のベル部を外しチューブのみにした状態で③のケーブルが飛び出ているφ8.0側へ接続します。
  5. 各連結部位をしっかりと押し込んだら、イヤホンが分かれていた部分を聴診器のチューブに絶縁テープを使って接続部付近まで巻いていきます。
  6. 各連結部に木工用ボンドでシーリングを施します。
    木工用ボンドを使う理由はシリコンなどの材質が溶けないのと、容易に接着部が剥がせ再度部品が使えるようになる為です。
  7. 接着部が乾けば完成です!
なんでも屋ME
ベルを装着するかはお好みで!シリコンチューブのカットがきれいならチューブ聴診法にも適しています。

 

 

イヤホンマイクですが、Appleの物が細くて入れやすいですので使用しています。
100均の物も使ったことはありますが、雑音なども入りやすくある程度品質が保たれており供給もあるAppleの物を使用することをお勧めします。

 

実際に使ってみた!

実際に自分の呼吸音をiPhoneの標準アプリ「ボイスメモ」で録音し、iTunesで音を大きくして聞きやすくしてみました。

このような音が、取れるようになります。(音量の調節をお願いします。)

電子式聴診器は使用したことないので、聴き比べはできませんがシャント音などの大きい音が出る物は悪い音にはならないと思います。(聴く端末の性能差にもよります。生音源だとiPhoneでは音が小さいのでイヤホン推奨)

音質を良くしようと思うと、イコライザやベルの材質などのレベルを上げる・イヤホンマイクの性能アップなどお金をかければ可能かと思います。

 

透析室での使用方法

当院ではVAマップにこの聴診器で作成した音を録音し、脱血部や吻合部などで実際の患者さんの音が聞けるようにしています。

iPadを使ったVA管理

 

また、新人スタッフや職場体験などでシャント音の説明に使用することもあります。

現在は、録音した音をアプリを使って周波数解析も行っています。

 

使用しているアプリは、「Sound Level Analyzer」と呼ばれる有料iOS端末専用のアプリで行っています。

個人的に一番使用しやすかったです。

2019年10月1日情報:720円の買い切りタイプです!

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電子式聴診器にはない利点

この自作録音機能付き聴診器の優れている点は、PCを介さずスマートフォンやタブレットで周波数解析ができたり記録保存ができるといった事だと思います。

普段の聴診の現場や患者さん自身に貸し出して日常の管理に役立ててもらえることはもちろん可能ですし、解析に時間がかからない客観的評価を行うことから超音波画像診断装置を持っていない施設や、聴診自体がシャントエコーと比べてすぐに終わるので患者を待たせずある程度評価が可能と思われます。

コスト的にもタブレットと材料費込みでも電子式聴診器より安く仕上がっています。

 

最後に

録音機能付き聴診器って高くて手が出せないけどこれなら自分でできそう・・・って思えるような物を紹介できたと思います。

是非VA管理に役立ててもらえればと思います!

また、心音や肺雑音の記録にも使えるので呼吸や循環器系の勉強・新人教育にも使えるのではと思っています。

なんでも屋ME
患者別肺野マップとか面白そう。

ちなみに院内では産科病棟から興味を持たれて作成依頼があったりなかったり・・・(妊婦さんに渡して赤ちゃんの心音を記録するのかな?)

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