自作録音機能付き聴診器を使った周波数解析にオススメアプリ紹介!

自作録音機能付き聴診器でシャント音を録音できるようにしたら、異常音と正常音の周波数の違いを調べてみたい!と思いますよね!?

そこで、今回勤め先でも使用しており使いやすかったiOS端末専用有料アプリ「Sound Level Analyzer」について解説します。

2019年10月1日情報:720円の買い切りタイプです!

Sound Level Analyzerについて

主に自分が使っている機能で、周波数スペクトラム解析の機能をメインで使用しています。

通称「スペアナ」と呼ばれる機能で、1/3 オクターブバンド解析の測定値表示機能 (Value)で各周波数帯ごとのdB値を棒グラフとして表示し、数値も表示してくれます。

つまり、どの周波数帯で一番大きい音が鳴っているかを見ることができるのです。

 

実際の測定画像

 

シャントに限って言えば、正常なシャント音は「ゴォーゴォー」と低い音が鳴っており、狭窄しているシャントでは「ピューピュー」と比較的高音(風切り音)が鳴っていると言われています。

実際の臨床でもそのような経験もありますが、中には特徴的であるピューピューという音が聞き取り辛いケースもあると思います。

そんな時に、このスペアナを用いれば数値として表示してくれるので特定周波数帯のある一定の数値を超えれば異常といった判断できると考えています。

 

あくまで個人的な目安としてとらえているのが、アプリ開発元の合同会社トオンさんHPにて書かれている環境騒音と騒音レベルの参考例をもとにしています。

130dB:飛行機のエンジン音
110dB:自動車のクラクション
100dB:列車の通過時の騒音
90dB:騒々しい工場の中
80dB:電車の中、掃除機
70dB:騒々しいオフィスや街頭
60dB:静かな自動車、普通の会話
50dB:静かなオフィス
40dB:図書館の中、 静かな住宅街
30dB:深夜の郊外、ささやき声
20dB:木の葉の擦れあう音

引用
合同会社トオン 環境騒音と騒音レベル例

この例をもとに、実際の測定値がどのくらい大きい音なのかを評価しています。

 

使用方法について

まず、使用する前の設定としてこのアプリでは「set/info」にあるCalibration Valにて「キャリブレーション」が行えます(±20dB)

僕は配信を終了していたアプリを当初使用しており、そのデータを基準値としたかったのでキャリブレーション値は-20.0dBとしています。

基準にしていたアプリでは、防音室データでの記録をとったらほぼすべての周波数帯で10~20dB程度になっていたのでこの「Sound Level Analyzer」でも防音室でのすべての周波数帯が10~20dB程度になるように調整を行いたかったので-20dBとキャリブレーション値に設定しています。

何もしない状態では、比較的高く表示される傾向にありました。

ただ、これはこのアプリを使用する前のデータありきだったので蓄積データがない状態なら無視していいかもしれません。

dB値はいくら防音室と言っても0dBとはならず、10~30dB程度となっているようです。これについてはアプリ開発元のHPにも書かれていました。

 

実際の使用方法

  1. アプリを起動し、画面下中央のP.S.をタッチします。
  2. 補正値をどうするかですが、勤め先では補正値なしの「Z」を使用しています。
  3. シャント肢の聴診したい部分に、録音機能付き聴診器を当てて、タイマー横の△マークを押します。
  4. 押すと記録がはじまり、停止ボタンで記録を止めることができます。再度△ボタンを押すとリセットされるので注意!
  5. Valueを押し各周波数ごとのdB数値を表示させます。
  6. 一番大きい音で判断をしたいのでdisplay Maxをタッチし測定時間内の最大値を表示させます。
  7. 任意の周波数帯での値を確認し評価します。
  8. 画面を保存したい場合はSnapをタッチし表示画面を行います。この機能が地味に良くて他のアプリにはない機能だと思います。

Snapで保存された画像はiOS端末内の写真に保存されます。

 

どの周波数帯を見るのか?

これがこの「周波数解析」のキモなのですが、おおよそこの辺りというざっくりとしたことしか言えません。

というのも、データを採る録音機能付き聴診器の出来具合やベルの材質・イヤホンマイクの性能などで変わってくるのではないかと思うからです。

ネットの情報や透析ケア(何号かは忘れました…)でも参考になる文献などあると思いますのでぜひ探してみて下さい。

実際に僕がやった狭窄周波数の目安を見つける手法は、狭窄音が出ている同一部位のPTA前とPTA後の録音とスペアナの各周波数帯dB値の変化を見て変化がある周波数帯をフリーソフトで抜き出し、狭窄音(風切り音)かどうかを確認していました。

ネットや文献などで言われている周波数帯に近いところが変化していたので目安としては間違っていないと思っています。

 

測定端末での差はあるのか?

iOSデバイスはタブレットやiPhoneなど様々な製品があります。

測定の際に、端末ごとに差はあるのか?開発元の合同会社トオンさんに聞いてみたところ以下の回答が得られましたので報告しておきます。

 

合同会社トオンさんからの回答ではすべての端末を持っているわけではないため以下の端末のみの比較を行いましたとのことでした。

iPhone 6/6s Plus ・8は±1dB以内とほぼ同じ計測値。

iPhone 5sで約-2dBの差となっているとのことです。

iPhone SEはパーツなど5Sとほぼ同じなので5Sと同等の結果になると予想されるとのことでした。

 

以上のことから、端末ごとに差はあるが数dB程度なので比較的無視できる値ではないかなと思っています。

 

最後に

今回勤め先でのVA管理で使用されているアプリについて紹介しました。

自作の録音機能付き聴診器とスマートフォンやタブレットを使う利点として、様々なアプリが容易に手に入りベッドサイドですぐに解析ができる点だと思います。

似たようなアプリはいろいろありますが、今回の紹介したアプリは非常に使い勝手がよく完成度が高いものだと思います。

是非当ブログで紹介した「自作録音機能付き聴診器」とセットで使用してみて下さい!

 

自作録音機能付き聴診器について

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