医療機器管理システムHITOTSU Asset

2023年1月11日から正式にサービスリリースされた医療機器管理システムの「HITOTSU Asset

全国の臨床工学技士の声が集まり日々進化する。医療機器管理システム HITOTSU。…

2023年に開催された第33回日本臨床工学会のトップページに載っていたりと、最近露出も増えて認知度も上がっているように思います。

今回勤め先でフリートライアルを経験したり、学会で操作できたので感想を記載していきます。

今回の記事はHITOTSU株式会社からの依頼ではありません。
個人の感想になります。
2023年12月1日より「医療機器管理システムHITOTSU」から「医療機器・資産管理システムHITOTSU Asset」へ名称変更されました。

HITOTSU Assetとは

医療機器管理システムは大きく分けて2種類存在しています。
・据置型(オンプレミス)
・クラウド型

HITOTSU Assetはラウド型に分類される医療機器管理システムです。

クラウド型のため、インターネットに繋がる端末があればシステムにアクセスできるようになっています。

また、創業者が臨床工学技士であり、臨床工学技士の実体験や視点をもとに開発が行われています。

HITOTSU Assetのクラウド型としての安全性

クラウド型のため、コンピュータウィルスの懸念を抱く方が実際に勤め先でも複数人いました。

HITOTSU Assetでは下記の対策がとられています。

  1. 常時更新でセキュリティ脆弱性を排除
    依存する全サービスのセキュリティ脆弱性に関するアラートを常時監視、即時アップデートする機構を整備。
    常に最新のセキュリティパッチを適用したシステム提供。
  2. クラウドタイプのためランサムウェアの標的に極めてなりにくい
    院内サーバーと独立に運用・管理されるクラウドは仕組み上狙われにくい。
  3. 強固な認証基盤でユーザー情報を暗号化
    パスワードや二要素認証のためのトークン等の認証に伴う機密情報は暗号化されており、かつ暗号化後のデータにはごく限られたHITOTSU社員以外アクセス不可。
  4. オートスケールで逼迫時のサーバーダウンを回避
    ユーザー使用量増加時、自動的にサーバーを増設する仕組み
  5. 5分に1度のバックアップで非常時でも復元可能
    災害時はデータ保管先を東京から大阪のサーバーに自動スイッチング。(Amazon Web Serviceサーバーを使用)
  6. ISMS認証を取得
    株式会社HITOTSUの情報セキュリティマネジメントシステムが国際基準に基づいた適切な運用・管理が行われていることの証明がされている。

また、ブラウザを使ったシステムのため、Chrome・Safari・edge等の使用ブラウザのセキュリティが適用されます。

これらのため、私たちが普段行っている基本的なセキュリティ対策(例:スパムメールを開かない・ソフトウェアのアップデート・アンチウイルスソフトインストールなど)で十分な安全性が保てると思います。

独断で感じたHITOTSUの売りポイント

・チャットでのスピード感ある対応
他の管理システムではメールや電話での対応が多いなか、HITOTSU Assetはチャットシステムを用いて、担当者と連絡を取り合い問題の解決を行います。画像も送信できるため、スクショなどを用いて、今問題となっている現象を簡単に伝えられるため問題解決までの時間はかなり早いと感じています。

・メンテナンスなどでシステムが利用停止にならない
クラウド型のため、定期的なメンテナンスで使用不可になるのかな?と思っていたのですが、フリートライアル期間ではシステムメンテナンスに伴う利用停止に陥ることなく稼働し続けていました。このような安定感は使用者として安心感がありました。

・UIが洗練されており、手作り感がない
どことなく他の医療機器管理システムは、エクセルベースっぽくセルで区切られているかのようなデザインで、情報が散らばった配置やフォントの小ささなどやや手作り感が否めないものが多い印象でした。ファイルメーカーベースのものも多くあります。HITOTSU Assetはそのような感じがせず、情報の位置が見やすく点検実施状況などタコメーター風で感覚的にもわかりやすいと思いました。

・修理フローが見やすい
修理に出している医療機器の修理状況が把握しやすいカード形式と、全ての修理状況が把握できるリスト形式の2パターン表示することができます。カード形式は完了や廃棄が一定期間経過したら表示されなくなり、ステータスが一定期間経過したら背景の色が変わる仕組みになっています。これにより、修理が遅れているなどといったことが一目で把握できます。

・添付文書の管理
医療機器の管理において添付文書の管理はどのようにすべきか課題がありました。更新を逐一把握してファイルを置き換えといった作業は、勤め先の人員的には難しく、また管理も機器によっては抜けていたりしていました。これが医療機器承認番号を入力するだけでPMDAから自動取得されるのでこの作業にかかっていた人件費は削ることができると感じました。

・PMDAリコール情報の通知
PMDAからメールでのリコール情報を受け取っている技士は多いと思います。HITOTSU Assetではシステム上にPMDAからのリコール情報が通知され、閲覧することができます。現時点では登録外の医療機器も通知されていますが、今後は登録された医療機器の通知に絞った機能が実装されるとのこと。

・点検表のテンプレート
HITOTSU所属の臨床工学技士が監修した点検表のテンプレートがあり、実際にそれを使用またはカスタマイズして運用し、点検表の作成に時間がかからないと感じました。

アレグ
臨床工学技士がいない病院ではこのテンプレート点検表はかなり有用なのではないでしょうか?

・他院との機器管理コスト比較
現在の段階ではまだ未実装ですが、将来的に他院との機器関連コストを比較できるシステムが開発されており、医療機器の選定や病院経営への重要な情報源となる機能が実装されるようです。

・医療機器以外の物品も入力可能
医療機器以外の備品や車両といった物まで管理が可能です。
これにより、院内の医療機器と備品などを含めた情報がHITOTSU Assetのシステムで台帳管理ができ、複数のファイルやシステムを使うことがなくなると考えられます。事務方側へのアプローチ材料にもなりそうです。

アレグ
誰がどこまで入力するか。といったルールは必要そう

・医療機器代理店とのコミニュケーションツール
HITOTSU Assetとの連携を視野に開発されており、医療機器の修理や見積もりをHITOTSU Assetの情報をもとに代理店へ情報提供を行えるようになるそうです。

アレグ
医療機器管理システムでここまでの連携を行なっているのは初めてではないかでしょうか?

HITOTSU Assetの改善してほしいポイント

・フリートライアル初期では不具合が多かった
他の医療機器管理システムのデータ移行を行い、使用していたバーコードをそのままの状態で使用するようにしたため、色々と不具合があった印象でした。
システム的なバグもありましたが、こちらの使用している周辺機器が影響していることもありそれらが判明するまでにやや時間を要しました。2023年1月の正式リリースから半年以上が経ち、現在ではそのほぼ全てが解消されています。

・新機能実装後にやや不具合が多い
毎月何かしらの新機能が実装されており、進化を続けています。
機能的に使いやすくなっており月額の使用料金のみで頻回なアップデート(2022年は103回も!)は驚嘆しますが、細かな不具合は出てしまっています。ですが、通常使用に影響するようなほどでもなく機能実装に関連した不具合が何件か見受けられました。

・一度決めた点検間隔からの修正が面倒
現在の仕様では、点検日がズレた時に自動的に間隔を再設定せずそのままの状態となり、年間通して複数回点検を行う機器にあたっては少し面倒かなと思うことがあります。

アレグ
これは勤め先の点検ルールによるものなので、全国的なルールではどうなっているのかが気になるところ。

・ビーコンを使った医療機器の追跡は有償
輸液ポンプやシリンジポンプなどの位置把握ができるシステムを構築中とのことですが、ビーコンなどの設定が複雑なのかこちらは有償サービスとなる予定だそうです。

・機器管理台帳のエクスポートが機種別など少数の種類に絞れない
後述のバーコードシールに絡めた問題点なのですが、〇〇の機器が納入されたからその情報だけをエクスポートしたいけど、台帳エクスポートをすると全機器情報が載った台帳がCSVファイルとしてエクスポートされます。機器台数が多いと見にくいと感じました。

・管理番号のバーコードシールが他のアプリを使用して排出される
現在はP-touch Editor(brother)とSPC10(テプラ)が推奨されているようです。
他の医療機器管理システムのように、システム側からバーコード・QRコードなどが印刷ができれば良いのですが技術的な面からまだ難しく先述の機器管理台帳エクスポート→各ラベル編集アプリ経由で発行となっています。

 

HITOTSUに必要な金額

料金プランは、病床数ごとに分けられています。

20−99床 100ー299床 300−499床 500床以上
3万円/月・年間36万(税別) 5万円/月・年間60万(税別) 7万円/月・年間84万(税別) 要問い合わせ
登録可能ユーザー数
10
登録可能ユーザー数
20
登録可能ユーザー数
30
要問い合わせ

10ユーザー追加毎に3000円/月(税抜)がオプションとして利用可能。
2023年10月参考時点情報

 

MetaLifeでのHITOTSU Asset紹介

2023年8月28日に「第一回」が開催されました。
参加人数50名弱で臨床工学技士以外の方も見られたりと注目度の高さが伺えました。
アバターを操作して会場を動くという新感覚な発表会で、今まで医療機器のメーカーでは無い取り組みだったと思います。


当日の会場の様子

MetaLife

MetaLifeは、オフィスやイベントスペース、教室として利用できる新しいコミュニケーションツールです。…

どんな病院がオススメか

HITOTSU Asset側のルールにある程度合わせられる病院が良いと感じました。

システムへの機能実装要望自体は上げれますが、全てが通るわけでもなく自院に特化した作りにはできないと思います。

自院に特化しようと思うと、高価格帯の医療機器管理システムとなっていまします。

費用を抑えて、ある程度高機能な医療機器管理システムを必要とするならば「HITOTSU Asset」はかなりいいシステムではないかと思います。

すくなくとも大手医療機器管理システムを触っている自分としては、HITOTSU Assetの方ができることが多く、台帳管理がしやすい印象です。

ただどんな医療機器管理システムでも、使う側が適当な入力を行うとその情報に価値はなくなるので、入力時のルールなどはある程度決めておく必要があります。

 

参考
HITOTSU株式会社,  閲覧日2023年10月22日, URL:https://lp.hitotsu.life/

HITOTSU株式会社によるHITOTSU説明パンフレット(2023年5月版)

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