畜産・愛玩動物に使用する医療機器のクラス分類

人間に使用される医療機器に、「クラス分類」があるように動物に使用される医療機器にも「クラス分類」は存在します。

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医療機器を管理する上で必要になってくる「クラス分類」。 このクラス分類が上位なものほど点検や使用者に対しての講習を必要とします。 最近では医療機器管理システムへの登録にもこのクラス分類が用いられており正しく読み取る必要があります[…]

 

調べてみると、医療機器ではありますが人間と動物で違い共通点がありました。

臨床工学技士は今後動物関連の分野でも活躍が期待されるのではないかと考えています。

そこで動物に使用される医療機器のクラス分類を紹介してみます。

 

動物に使用される医療機器の担当省庁は?

人間における医療機器の承認は「厚生労働省」が担当しています。

しかし、動物で使用される医療機器の承認は「農林水産省」が担当しています。

共通点として、どちらも「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」通称:医薬品医療機器等法または薬機法に関連しています。

ちなみにこの法律は厚生労働省が担当しています。

アレグ
人で使用されている物を動物にも流用するから?
この法律上での医療機器の定義として、
この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。

動物に使用される医療機器のクラス分類は?

人間用と同じようにクラス分類があります。

  • 一般医療機器
  • 管理医療機器
  • 高度管理医療機器

高度管理医療機器は、

  1. 閉鎖循環式麻酔システム
  2. 人工心臓弁
  3. 人工心肺装置
  4. 人工腎臓装置
  5. ペースメーカ
  6. 閉鎖循環式保育器

この上記6つしかないようです。(2023年8月時点)

人間用と違い、輸液ポンプは管理医療機器に該当しています。

特定保守管理医療機器などはないようでした。

大臣は、保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とすることか らその適正な管理が行わなければ疾病の診断、治療又は予防に重大な影響を与えるおそれが あるもの(高度管理医療機器に限らない。)を「特定保守管理医療機器」として指定するこ とになっている。しかし、現在、動物用については指定されたものはない。

薬事法に基づく動物用医療機器の品質、性能及び安全性確保制度より引用

 

農林水産省に詳細なクラス分類表があります。

 

動物用医療機器の添付文書は?

クラス表記が示されているため、添付文書も人間用と同じようにあるようです。

こちらのサイトで検索できます。

動物用医薬品等データベース

動物用医薬品等データベースのWebサイトです。…

アレグ
PMDAとはまた違った検索方法・・・

 

動物用医療機器の修理は?

動物用医療機器に関しては誰が修理するのでしょうか?

医療機器修理業の許可要件 医療機器修理業の許可を得るためには、その事業所が「動物用医薬品製造所等構造設備規 則」(構造設備規則、平成 17 年(2005 年)農林水産省令第 35 号)第 12 条に示された医療機器 修理業の事業所に関する規定に適合していなければならない。 都道府県知事は、修理業許可(許可更新)申請時に動物薬事監視員を事業所に立ち入らせ て事業所の構造設備が構造設備規則第 12 条の規定に適合していることを確認させ、その結果 を大臣に提出する。 また、事業所の責任技術者が、3年以上の医療機器の修理業務経験を有すること等の資格 要件を満たす必要がある。

薬事法に基づく動物用医療機器の品質、性能及び安全性確保制度より引用

アレグ
臨床工学技士の活躍チャンスな気がします!

実際のところは、医療機器販売代理店などが挙げられますが「医療機器の修理業務経験」に修理区分は関与されていません。

そのため、医療機器では第1区分しか修理が行えない業者であっても、条件さえ満たした事業所ならば、動物用の医療機器であれば関係なく修理が行えるようになっています。

 

臨床工学技士に活躍の場はあるのか?

個人的には、少子高齢化なども影響して今後ペット産業は増大しそうな気がしています。
すでに修理業をやられている臨床工学技士さんもおられるようです。

まちなかMEセンター

まちなかMEセンターは、動物用医療機器の開発・製造・販売を行っている会社です。 動物病院様を中心に、飼い主の方への販売・…

動物用医療機器に関しては特定保守管理医療機器がないため、この分類が使用されると爆発的に増大しそうな気がします。

また、人間用では当たり前になりつつある「医療機器管理システム」が動物用では全くありません。

おそらく上記の保守管理に関して「決められた定期的な点検や修理・部品交換がないため医療機器の管理という概念がまだ動物用医療機器にはないからだと思います。

ネット検索でも出てこないことからブルーオーシャンな事業なのかもしれません。

 

参考文献
農林水産省
動物用医薬品等の製造販売業等許可関係申請・届出書様式, 閲覧日2023/8/, URL:https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/y_gyokyoka/forms.html

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