医療機器の点検にはいろいろな工具を使って外装を外したり、部品を取り出し・固定といった事を行います。
医療機器によってはネジを緩めて部品を取り出したりしますが、ネジを回す道具のドライバーには様々な種類があり、使用用途により使い分けを行います。
今回はそんなドライバーの特徴など解説していきます。
使用頻度No.1!ドライバーについて
ドライバーは修理や点検などいろんな場面で使う工具で臨床工学技士なら誰もが一度は手にして使ったことがあると思います。
まずは、ドライバーの種類について整理していきましょう!
ドライバーの種類
プラスチック柄ドライバー
持ち手がプラスチックで素材により絶縁性があるものや、導電性のあるものがある。
ホームセンターなど様々な場所で売られている。
電工ドライバー
基本的に感電対策として絶縁体で作られており(ゴムやプラスチックなど)先端の金属部分と人体との接触がされないようにされている。
そのため構造上金属部分と柄の底がつながっておらず、ハンマーなどでたたくと金属部分が柄を貫通して破損する場合があるため行ってわならない。
押し回しがしやすいように柄が丸く瓢箪のようになっている。
医療機器を点検する際はおもにこのタイプを使用。
貫通型ドライバー
ハンマーで柄の底を叩けるよう金属軸が柄の底を貫いており尻金がついている。
基本的に絶縁対策はされていないので電気工事に使用することはできない。
精密ドライバー
腕時計やメガネなどに使われている小さく細いネジに対応している。
柄の尻部に回転具があり、指や手のひらで押さえて回すことが出来る。
刃先がかなり小さいため力をかけすぎると破損しやすいため取り扱いには注意!
差し替え式ドライバー
刃先を使用用途に合わせて柄に接続し使い分けるドライバーで刃先は様々なタイプがある。
物によっては回転具がついていたりする。
スタビードライバー
柄と刃先の長さが短く、柄が太い。
狭い場所などで使用する。
効率よくネジを回したりたくさんの場所の締めや緩めといった作業には不向き。
透析用監視装置内の中での作業に向いている。
ボックスドライバー
プラスやマイナスといったネジ山がある物ではなく、六角形や星形などのネジ頭形状に使用。
ソケットにはめ込んで使用する。
透析用監視装置に使用することが多い。
検電ドライバー
柄の内部に抵抗とネオンランプがあり、通電しているかを調べる際に使用。
通電していると柄の中のネオンランプが光る。
この部分が光りますが光は弱く見えづらかったりします。
電極の極性を調べたりするのに使用されます。
トルクドライバー
近隣で売っていなかったので・・・画像ありません
あらかじめ設定されたトルクに達するとそれ以上締め付けが行われない特徴がある。
トルクドライバーを使っての緩める作業はしてはならない。(設定値がずれたり故障の原因)
ネジの締め付けトルクが記載されている場合に使用。
締め付け限定での使用。
インパクトドライバー
緩まないビスに使用。
ハンマーで柄の底を叩くことで衝撃を回転力に変える。
上記の為、精密な作業には向かない。
医療機器の点検ではおそらく使わない・・・
ラチェットドライバー
ラチェット機構(一方方向のみの回転)を備えたドライバー
往復動作させることにより回転する。
回転方向は切り替えることが可能なものもある。
これも医療機器の点検ではおそらく出番がない・・・
ドライバーの使用方法
ドライバーには適切な使用方法があります。
次にあげる点を守って使用してあげてください!
- ネジの溝や穴にぴったりと合ったガタつかないサイズを選択。
- ドライバーとネジが直線上になるように使用。(斜めに入るとネジ山がつぶれてしまう)
- 破損しているドライバーは使わない。
- テコ代わりに使用しない(軸が曲がるため)
- ハンマーの代わりにしない(柄が破損するため)
最後に
今回は医療機器の点検に使う道具ドライバーについて解説してみました。
普段無意識に適当にネジにあったのを使っていましたが、改めて調べたらこんなに種類があるのかと思いました。(まだ紹介できてないのもあると思います)
臨床工学技士の主な業務「医療機器の保守管理」には欠かせない道具なので、適切に使い分けて使用していきたいですね。
参考文献
ホーザン株式会社 仁木 政志 2017年 卒後臨床工学技士基礎研修会テキスト(第11版) 保守点検用具の名称と取り扱い 公益社団法人 日本臨床工学技士会
Wikipedia ドライバー(工具) 2019年3月30日アクセス