前回ドライバーのことを書きましたが、今回はドライバーときたら次は「ねじ」について!
医療機器の部品には様々な種類の「ねじ」が使用されており、それぞれに特徴や使い分けがされています。
今回はその種類と特徴を解説していきます。
様々な医療機器の部品に使用される「ねじ」
「ねじ」の部分名称説明
- 頭部
画像の赤色部分のことを言います。 - 座面
画像の青色部分のことを言います。
締め付けの力が一番加わる部分です。 - ねじ先
画像の緑色の部分のことを言います。 - 軸
画像の青色から緑までの部分のことを言います。
よく使われる「ねじ」の太さ・長さ表記について
一般的な小ねじではM〇〇×△△と記載されて販売されています。
頭文字のMはねじの種類を表し、M:メートル並目ねじ・メートル細目ねじのことをさします。
並目か細目は軸のギザギザ部分の間隔の違いです。
○○は画像でいうところの赤色部分で軸の幅を表します。
△△は画像でいうところの緑色部分で軸の長さを表します。
後述する皿小ねじのみ頭部も含めた長さを表します。
「ねじ」の種類について
なべ小ねじ
なべ小ねじは現在一番多く使用されており、あらゆる医療機器にも使用されています。
最もポピュラーなねじで様々な大きさ・長さがあります。
決まった使い方がないため、頭部形状にこだわりがなければこれが使われることが多いです。
皿小ねじ
皿小ねじは頭部を出したくないときに使用され、締結するものと同じ高さの面、もしくはそれより低くしたいときに使用されます。
使用するには「ザグリ加工」と呼ばれる加工が必要。
皿小ねじの頭部にあった形状に締結する材料の加工をすることで、これが不十分だと画像のように皿小ねじの頭部が出っ張ってしまい皿小ねじを使う意味がなくなってしまいます。
丸皿小ねじ
丸皿小ねじは皿小ねじと似ていますが、全長の表記が違います。
皿小ねじはねじの端から端までを全長としているのに対し、丸皿小ねじは頭部のつばの部分からねじ先端の所までを全長としています。
その為、同じ長さ表記でも丸皿の方が少し大きくなります。
皿小ねじ同様にこちらも材料にザグリ加工が必要です。
トラス小ネジ
トラス小ねじは大きなものをしっかり止める際に使用されます。
ワッシャーを使わずに単体で座面の陥没を防ぎます。
頭部が大きいため他の小ねじに比べて頭部との接地面積が大きいので緩み止めの効果も期待できます。
バインド小ねじ
バインド小ねじは頭部が台形で上面が丸くなっているのが特徴です。
なべ小ねじに比べて少しだけ頭部の径が大きいです。
なべ小ねじ<バインド小ねじ<トラス小ねじ
トラス小ねじを使いたいが、頭部径が大きいのは使用できないときに使用されます。
なべ小ねじと見た目の違いがありデザイン的な目的で使用されることがあります。
こちらもトラスねじと同様にワッシャーを使わずに座面の陥没を防ぎます。
マイクロねじ
M2未満のねじを使用したいときに使われるます。
主に精密ドライバーで締め付け行います。
頭部はなべ型と皿型の2種類しかないです。
ワッシャーについて
平座金
ワッシャー(平座金)は座面と材料の間に挟むことで、材料を傷つけるのを防いだり座面の陥没を防ぎ広い面積で緩みにくくしたりする際に使用されます。
また、穴径が大きい際に座面を安定させるために使用したりもします。
金属製ではなく樹脂製の物もあり、それらは気密性を高めたり材料に傷がつかないようにするために用いられます。
ワッシャーにはどちらの面を使うかなどの決まりはないようで、見た目から光沢があるほうを見える部分にし、光沢がないほうを材料側にする使用方法がとられている事が多いです。
一般的にワッシャーというとこの平座金のことをさします。
スプリングワッシャー
形は平座金が切れてねじれたような形をしており、ねじれがあることにより緩み止め・緩んだ際の脱落防止効果があるといわれています。
スプリングワッシャー単体で使用すると材料に食い込み傷がつくので通常は頻繁に取り外しを行う部分には単体での使用はされません。
その為、上記写真のように平座金と組み合わせて使用されることが多いです。
もちろん単体で使用される事もありますが、頻繁に取り外しが行われない場所に使われます。
最後に
今回は医療機器に使われている「ねじ」について解説してみました。
小さな部品であるねじですが、ドライバー同様たくさんの種類があります。
なぜこの装置にこのねじが使われているのだろう?と考えてみると面白いかもしれません。
参考文献
よくわかる規格ねじ 宇都宮螺子株式会社 2019年4月5日アクセス
ねじ Wikipedia 2019年4月5日アクセス