透析室に新しいエコー装置を!
超音波画像診断装置の選定にがっつり関わったので選定理由など書いていこうかと思います。
今回超音波画像診断装置購入に関わったのは、シャントエコーにメインで携わっており透析室で使用予定ということで関わらせてもらいました。
デモ機種を絞ってみる!
まずはデモを依頼させてもらい、各々の機器を出来るだけデモ期間中に触りまくりました(笑)
デモの機器選定ですが、シャントエコーの外部講習の際に実際に見た機器だったり、学会発表で使用されている機器、院内のSPD業者さんオススメの機器などを試させてもらいました。
選定基準項目
選定基準となった項目が
- バッテリーが付いていること。
今の機器には搭載されておらずベッドサイドを移動するたびに電源を切ってまた入れての繰り返しで時間がかかっていた。
- パルスドプラが備わっていること。
FVを測ることはVA管理に必要不可欠となっているため必須要件でした。
- 画質が現在の使用機器以上であること。
現在の使用機器が割と大型の部類でポータブルエコーとは違うため高画質寄りではあったと思います。高画質のものに慣れすぎてしまっていたのでこれより下の画質では見落としがあるかもしれないと思ったのが理由の1つです。
- 外部出力端子が付いていること。(VGAに変換可能か)
これはエコー下PTAを行う際にカテ室の大画面モニターにエコー画像を出力させて手技のしやすさを向上させる目的もあり重要な要素でした。
- パルスドプラ使用時に波形をワンタッチで最適化。
この機能は最近のエコー機器では標準装備されているケースが多いです。現行機では装備されておらずマニュアルで波形調整をしていました。
- 看護師さんでもストレスなく扱えること。
現在当院でシャントエコーが行える技士は僕を含めて2名…二人とも休んだ場合とドクターが不在の場合の時シャントトラブルの対処に問題がありその解消が目的でもあります。また、フットケアの際の下肢動脈の観察に用いて欲しい希望もありました。
以上を踏まえて、5台の機種を触らしてもらいました。
エコー装置のタイプ
超音波画像診断装置には大きく分けて3タイプあると考えています。
据え置きタイプ
こちらは機器が大型ですが画質や機能が高水準です。据え置き機のため最初から移動は考えていない設計の為、取り回しは悪くバッテリーは積んでいません。また、パソコンのキーボードの様なものが付いています。
ノートパソコンタイプ
こちらは重くても5〜8キロ程度で架台にセットしたりして運用します。持ち運びができる前提なのでバッテリーが付いており機能も高機能タイプが多く、シャントエコーで使用することを考えると主流になっているタイプです。また、本体と画面が分離するタイプなどもあります。
タブレットタイプ
こちらはよりエコーを積極的に使っていく施設に向いているタイプで主にエコー下穿刺で使用されている様です。値段も他のタイプと比較してお手頃価格となっていますがBモードとカラードプラのみといったことが多くサブ機としての運用が向いているタイプです。タブレットタイプのためバッテリーは標準装備です。
1つのタイプに絞り込む!
では当院はどんなタイプがいいかとなった時、メインで使えてバッテリーが装備、高機能高画質という事でノートパソコンタイプに絞りました。
5機種のノートパソコンタイプをメインでシャントエコー行っている2名の技士の中で、さらにキーボードタイプとボタンが8つしかないタッチパネルタイプに絞り、透析室の看護師さん全員に触ってもらい自分だったらどの機種が使いたいかをアンケート集計しました。
アンケートで最終的な要望機種に絞り込む!
当初はボタンが少ない方がウケが良く圧勝になるのでは?と思ったのですが、機器の操作説明や実際に触ってみるとキーボードタイプの方が操作はしやすい!という意外な評価に。タッチパネルタイプは、計測時にボタンでの操作が加わるためか操作面では不評でした。
アンケート結果は
この2つが合わさったやつが欲しい!画質が綺麗で操作性が良いやつがいい!と言われましたが2つを兼ね備えたものは値段が1.5倍ほど違い、どちらかを選んでください!ということで、集計結果で過半数を超えたのが画質がいいが操作性はキーボードタイプより劣るタッチパネルタイプでした。
アンケート結果からは
- 自分が評価するにはやはり画質が綺麗な方が評価しやすい。(9割の回答で聞かれました)
- 操作は覚えればなんとか…
- 自分でもうまく血管が描出できた。
- 意外とキーボードが使いやすかった。
などという結果でした。
5機種デモ機を触らしてもらっての感想
いろいろなノートパソコン型タイプの超音波画像診断装置を触らしてもらって思ったのが、
各社据え置き機器もありますが最近はノートパソコン型の機器に力を入れているように感じました。
また、プローブの機能や形でいいなと思ったのは、
- プローブにフリーズボタンがついている機種
- シャントエコーに特化したプローブ(一般的なのリニアプローブよりもやや小さい。これによりFV・RIが測りやすい。)
そして、これはシャントエコーに使いづらいと思ったのが「フルタッチスクリーン」
なぜなら、手技中は手袋をしていますし計測時に細かい微調整がタッチのみではしにくかったです。
やはりトラックボールのような機能は最低限のあるべきで、上記アンケート結果からわかるように物理キーの方が操作面ではまだまだ有用そうでした。
解像度ですがリニアプローブの周波数に依存してくるところが大きく、特にシャントエコーのような表在静脈をメインに描出するには周波数が高いほどきれいに映っていました。
ただ、いくら周波数が高くてもモニタの性能がイマイチなものもありそこもチェックポイントの一つと思いました。
最後に
現在、選定した装置が納入され使い勝手が向上したためいろいろな用途にも運用され始めました。
看護師さんからもフットケアで使用してみようという話も出ており、今後ケアの質向上や収益アップも見込めそうです。
超音波画像診断装置の更新を考えている方に参考になれば幸いです。