添付文書はほとんどの医療機器や医療材料についているもので、その内容は使用方法・禁忌・製造業者に至るまで幅広く書かれています。
今回医療機器の管理にも役立てれる添付文書の解説をしていきます!
添付文書に書かれている事
国内に流通する医療機器には原則として添付文書が同梱されています。
これは医薬品医療機器等法(薬機法)に定められており、記載するべき内容も決められています。
記載要領は家庭用向けの医療機器(例:体温計など)を含む全ての医療機器に適用されます。
そのため、表現や内容は義務教育終了程度の学力を有する者が容易に理解できるものとされます。
作成の単位として原則一つの承認・認証・届け出の機器につき一つの添付文書を作成するとされます。
複数の承認・認証・届け出の機器を組み合わせて使用す場合は一つにまとめることができます。
一つの承認・認証・届け出の機器に複数の製品が使用されている場合は製品別に記載を求められます。
また、添付文書の用紙サイズはA4で裏表8枚程度となっています。
そのため使用者に伝えるべき内容が多く添付文書のみでは十分に情報提供ができない医療機器は、添付文書に加えて取扱説明書を作成しなければいけません。
添付文書の記載事項と記載順序
記載順序は決まっており、製品の基本情報である承認・認証・届出番号・類別名称・一般名称・製品販売名・作成日もしくは改定日は添付文書1ページ目のヘッダー部に記載されています。
以下記載順
- 作成もしくは改訂年月日
- 承認番号など
- 類別・一般的名称など
- 販売名
- 警告
- 禁忌・禁止
- 形状・構造及び原理など
- 使用目的または効果
- 使用方法など
- 使用上の注意
- 臨床成績
- 保管方法および有効期間など
- 取り扱いの注意
- 保守点検にかかる事項
- 承認条件
- 主要文献および文献請求先
- 製造販売業者および製造業者の名称など
警告と禁忌・禁止は記載が目立つように色が変えられたり、枠線があります。
警告は赤字に赤枠線。
禁忌・禁止は黒字に赤枠線。
このように記載することが定められています。
記載の順序の内記載すべき内容がない場合は項目名を含めて削除しても良いとされています。
医療機器管理で必要となる添付文書情報
医療機器管理で必要となる主な情報は主に1ページ目のヘッダー部に書かれている基本情報と保管方法および有効期間・保守点検にかかる事項・製造販売および製造業者の名称です。
添付文書1ページ目のヘッダー部分です。
画像のように添付文書は読み取ることができ、勤め先では医療機器管理システムを運用している為上記画像の情報と添付文書をPDFファイル化して取り込んでいます。
一般名称の左横に分類が付きます。この分類も記載するようにしています。
分類は略語が使用される場合があります。
高度管理医療機器:高管
管理医療機器:管理
一般医療機器:一般
一般的名称の右隣にJMDNコードが書かれています。
JNDNコードとは
JMDN(じぇい えむ でぃ えぬ)コード(Japanese Medical Device Nomenclature)とは、平成17年4月より施行された改正薬事法において、国際整合の方針のもと欧州で作製された医療機器関連の一般的名称リストであるGMDN(Global Medical Device Nomenclature)を取り入れたもので、GMDNの一般的名称のうち日本では医療機器として規制を受けていないものを除いたうえで、日本で薬機法上の医療機器とみなされている日本独自の一般的名称である。
ここまで記載する必要があるかはさておき、管理ソフトに記載項目があるため勤め先では記載するようにしています。
販売名称の左横に区分として特定保守管理医療機器や設置管理医療機器といったものが付く場合もあり、これも記載するようにしています。
またこの区分は略語が用いられる場合もあります。
特定保守管理医療機器:特管
設置管理医療機器:特管(設置)
まとめ
国内流通の医療機器には添付文書が同梱されている。
添付文書内には医療機器の管理に必要な情報はもちろん、警告・禁忌・使用上の注意など知っておかなければならない情報が記載されている。
自分たちが使用する場合や医師・看護師などへの使用方法を教えることもあるため目を通す必要がある。
参考文献
認定医療機器管理臨床工学技士検定委員会,認定医療機器管理指定講習会テキスト,2018年[54-57]