以前TwitterでPES膜に食紅を通過させると薄い色のついた液体がV側から出てきた!ということをツイートしたところなぜ通過するのか?除去されるのではないか?といった事を疑問に思ったので今回いろいろな食紅で試してみました!
上記の方法は、かなり適当な条件でポンプを回したこともあり、今回は厳密に設定を決めて行ってみました。
アレグ実験レポート風に書いていきたいと思います!
検証方法
- 水道水で回路をプライミング
- 水1Lに対し食紅キャップの内側分(約0.2g)投入(写真黄色の枠内)


- よく撹拌させた後、生食ラインと接続
- QD:500ml/min QB:200ml/minでHD開始
- Vチャンバーに目視で色がつくまでの流れた量を計測
- ⑤の後水道水で回路全体の色素が抜けるまで洗浄(HDモードで行う)
使用機材
ダイアライザー・回路は滅菌切れ・不潔になった物を使用
- ダイアライザーの性能(PS膜)
膜面積:1.5㎡ 血液容量(ml):82 UFR(ml/mmHg/hr):63 クリアランス(ml/min):尿素:196 クレアチニン:190 リン酸:182 ビタミンB12:138



PES膜で不潔・滅菌切れがなかったので…
- 食紅
赤・青・緑・黄 販売者:共立食品株式会社
| 品名 | 成分重量 | 分子量(デキストリンは除く) |
| 食用色素 赤 | デキストリン 88.0%
食用赤色102号 15% | 食用赤色102号(ニューコクシン) 604.48 |
| 食用色素 青 | デキストリン 92%
食用青色1号 8% | 食用青色1号(ブリリアントブルーFCF) 792.86 |
| 食用色素 緑 | デキストリン 88%
食用黄色4号 8.4% 食用青色1号 3.6% | 食用黄色4号(タートラジン) 534.37
食用青色1号(ブリリアントブルーFCF) 792.86 |
| 食用色素 黄 | デキストリン 86%
食用黄色4号 14% | 食用黄色4号(タートラジン) 534.37 |
結果
| 食紅の色 | Vチャンバーに色がつくまで流れた水量(ml) | 特記事項 |
| 赤 | 420 | 漏血警報頻回にあり |
| 青 | 250 | 漏血検出器電圧異常 緑 下限が 頻回にあり |
| 緑 | 200 | |
| 黄 | 220 |
食紅:赤のAチャンバー・Vチャンバー・水道水
Aチャンバー・Vチャンバー






食紅:青のAチャンバー・Vチャンバー・水道水
Aチャンバー・Vチャンバー






食紅:緑のAチャンバー・Vチャンバー・水道水
Aチャンバー・Vチャンバー






食紅:黄のAチャンバー・Vチャンバー・水道水
Aチャンバー・Vチャンバー






考察
色素の原因物質である物は低分子量であるためHDで除去可能と思われたが(現に透析液出口からは色が着いた排液があった。)、実際は薄くなった状態ではあるがダイアライザーを通過していた。
赤色だけ目視で確認できるまでの水量が多いのは比較的色素が薄かったからか?
食紅投入の際の量に多少の誤差が生まれていたのかもしれない。
デキストリンの量が多いものほどVチャンバーの色素変化ははっきりとわかることから何らかの影響があると思われる。
デキストリン (dextrin) は、デンプン[1]またはグリコーゲン[2]の加水分解で得られる低分子量の炭水化物の総称である。α-グルコースがα-(1→4) または α-(1→6)グリコシド結合によって重合した分子構造である。多糖類に分類され、デンプンとマルトースの中間にあたる。
引用:Wikipedia
単体では、低分子量のようだが色素を溶けやすくするため色素と結合させるなど何らかの加工が施されて高分子量となっているのかもしれない。
食紅青では漏血検出器の電圧異常をきたしていたが、緑ではアラームが鳴らなかった。この電圧変化観察もしてみると面白いかもしれない。
まとめ
食紅はHD中のダイアライザーを通過するがある程度の除去も行われていた。
デキストリンの分子量がわかればダイアライザーの性能試験評価方法の一つとして行うことも可能かもしれない。
参考文献
旭化成メディカル http://www.asahi-kasei.co.jp/medical/pdf/dialysis/vps-ha_catalog.pdf (2019年8月13日アクセス)
Wikipedia(タートラジン) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%B3 (2019年8月13日アクセス)
Wikipedia(ニューコクシン) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%B3 (2019年8月13日アクセス)













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