透析関連の資格はたくさんありますが、今回紹介する資格もその一つです。
血液浄化関連の資格ってたくさんあり、有名なところでは透析技術認定士や血液浄化関連専門臨床工学技士がよく名前が挙げられます。
今回紹介する資格は「腎代替療法専門指導士」と呼ばれるもので、資格取得によって診療報酬への加算が関係しています。
腎代替療法専門指導士とは
日本腎代替療法医療専門職推進協会では、日本透析医学会、日本腎臓学会、日本臨床腎移植学会、日本移植学会、日本腹膜透析学会、日本腎不全看護学会、日本臨床工学技士会、日本病態栄養学会、日本腎臓病薬物療法学会、日本透析医会、日本腎臓病協会(順不同)と共同で、多職種で連携し、より良い腎不全医療を推進させるために「腎代替療法専門指導士」制度を立ち上げました。
「腎代替療法専門指導士」は、職種横断的な、CKDの腎代替療法の選択・療養指導に関する基本知識を有した方を育成し、透析医療だけでなく、移植医療や保存的腎臓療法を推進していく方々が取得する資格です。
対象は看護師・保健師、管理栄養士、薬剤師、臨床工学技士、移植コーディネーター、および医師の方々です。
本指導士認定制度は腎代替療法の適切な選択を推進し、透析・腎移植患者のADL・QOL向上を目指すことを目的としています。
日本腎代替療法医療専門職推進協会が今回の資格主導の母体になっています。
医師・看護師をはじめ臨床工学技士や他の透析医療に関わる医療従事者が取得できる資格の様で、維持透析だけではなく移植や腹膜透析の知識も必要とされています。
臨床工学技士が「腎代替療法専門指導士」を取得するには?
臨床工学技士が腎代替療法専門指導士を取得するには、下記要件が必要となります。
大前提として日本腎代替療法医療専門職推進協会への入会(5000円/年)が必要です!
1.臨床工学技士免許の保有
2.専門または認定血液浄化関連臨床工学技士の資格を有している。
3.過去10年以内に通算3年以上、腎臓病患者の療法選択指導業務、食事指導、薬剤服薬指導、移植コーディネート、あるいは腎代替療法の医療現場に従事している者。
4.腎代替療法選択指導に関する20単位(1単位50分)のe-ラーニング講義の受講を行い、各受講単位のe-ラーニング試験に全5問に正解すること。(試験は複数回の受験は可能)*更新時の年度に再度年間20単位を取得した場合、その年度末の申請要件を満たすものとし更新申請が可能となる。
5.日本透析医学会学術集会・総会での講義(20単位のうちの1単位)を受講しいる。
4.のe-ラーニングは関連資格(専門/認定血液浄化関連臨床工学技士など)を取得していれば20単位から数単位減免措置として受けられる。
更新方法
日本腎代替療法医療専門職推進協会の会員であり、資格認定期間中の会費を全納していること。
基盤とする学会(2単位)あるいは関連学会(1単位)の年次集会への参加記録が5年で5単位以上あること(注4)。
日本腎代替療法医療専門職推進協会が指定する講習会に5年間で2回以上の出席すること。
更新時に腎臓移植、並びに在宅透析への研修記録を提出すること(*)。
5年間の最終年度では、次の5年間の更新のために、新たに20単位の新規講習単位認定が必要である。
* 腎臓移植、並びに在宅透析への研修記録の基本は、5年間の認定期間において所属施設にて、5例以上の在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定患者がいること、さらに腎移植に向けた手続き(献腎移植の新規登録または更新、生体腎移植紹介例)が合わせて10例以上あることが必要であるが、達成できない場合には、「達成に向けた研修記録」を提出することで代用できる。
達成に向けた研修記録が謎すぎる・・・
後日Q&Aで紹介されるようです。
一般的な透析クリニックや総合病院では症例がなかなか集まらないのではないでしょうか。
一度認定を受ければ、各専門分野の認定資格(専門/認定血液浄化~)は必要ないのかな?
2022/8/4追記
研修に関する基準は下記の通り
・導入期加算3を算定している施設が主催する研修であること。
・当該研修を実施又は受講する各施設に配置されている「腎代替療法に係る所定の研修を修了した者」が参加していること。
・在宅血液透析、腹膜透析及び腎移植に関する基礎知識、腎代替療法の特性に応じた情報提供、腎代替療法に係る意思決定支援等の内容が含まれる研修であること。
上記の事から、導入期加算3を取得している施設が中心となり、研修を行っていく形になるようです。
腎代替療法専門指導士取得に必要な金額(臨床工学技士の場合)
資格取得で気になるのが取得にかかる費用・・・
臨床工学技士免許しか持たない場合の腎代替療法専門指導士取得までの金額を計算してみました。
日本臨床工学技士会会員:10000円/年(入会金5000円)
都道府県臨床工学技士会会員(地域により値段が違う):5000円/年(入会金5000円)
日本腎代替療法医療専門職推進協会入会:5000円/年
認定血液浄化関連専門臨床工学技士認定にかかる費用(JACE2回参加で技士会正会員):55000円
日本透析医学会学術集会・総会参加費(施設会員):10000円
日本腎代替療法医療専門職推進協会によるe-ラーニング費用:10000円
腎代替療法専門指導士認定料:10000円
合計:130000円(技士会関連は会費2回支払い)
宿泊費など計算に入れていないのでもう少し高い可能性がありますが、概算としてはこの程度以上はかかるのでしょう・・・
資格維持には日本透析医学会学術集会・総会参加が複数回必須なのでなかなか維持するのにも費用が掛かりそう。
最後に
今後この資格は診療報酬にも関わると噂されているのでもし加算があれば、施設側と交渉して資格取得に動きやすくなるのではないでしょうか?
現段階ではまだ情報が少ないので今後の発表に期待!
透析領域感染症管理認定士なるバナーもありいろいろ動きがありそうな予感・・・
2022/8/4追記
導入期加算に「腎代替療法に係る所定の研修を修了した者が配置されていること」の一文が加わり、加算に関係する資格となっています。
参考サイト
一般社団法人日本腎代替療法専門職推進協会,2021.12.30, URL:https://jrrta.org/
一般社団法人日本腎代替療法専門職推進協会,腎代替療法専門指導士の認定に係る料金について,2022.1.30,URL:https://jrrta.org/news/90-2/