臨床工学技士が呼ばれる機器の中は様々な種類があります。
こんなことはどこの病院でも見られる光景だと思います。
今回は勤め先で今まで経験した送信機・ベッドサイドモニター・セントラルモニターの不具合故障修理の内容とその対応を書いていきます。
送信機の不具合・故障・修理対応
波形が出ない・乱れている
恐らく、送信機の不具合で呼ばれたらこのケースが一番多いです。
一口に波形が出ないと言っても色々な波形があります。心電図なのかSpO2なのか血圧なのか・・・
原因と対応
- 電池が入っていないor電池が切れかかっている(まずはこれを確認!意外と見落としがち)
- 該当波形のケーブルが抜けかかっている。(これも意外と多いです)
- 電極の貼り付け位置が間違っている。(送信機に貼り付け場所が書いてあるのでそれに合った場所に貼り付けを行う。また、骨の上などは避ける。痩せている人は波形が乱れやすいので注意。)
- ケーブルの断線・破損(テスターを装着しモニターに波形が出るか確認し判断。あるいは信号が来ているかの確認などで判断)
- 受信感度が低い(送信機を該当患者の部屋もしくは一番セントラルから遠いフロアに置き、ない場合もあるがセントラルモニターにある簡易スペアナで受信レベルの確認。または受信機を使って確認。)
- 誘導を変えてみる。(誘導変更ができない機種もあります)
ケーブルor測定部品の破損
見ただけで判断できるケースが多いです。
なかにはどうやったらここまで壊れるのかや、ケーブルの被膜が剥がれている所をまだ使えるからと言って絶縁テープで補修していたりすることも・・・
原因と対応
基本的に部品交換でなければ発注しての対応。ケーブル類の断線などは比較的多いので何本かストックを置いておくのも重要です。
絶縁テープの補修はやめさせるように指導も行います(笑)
本体の破損
落下やベッドの柵にぶつけたり、患者さんが故意に破損させたりと様々ですが、臨床工学技士が修理できる場合は限られてきます。
原因と対策
- 電池蓋の破損(補修パーツがあれば取り換え、なければ発注)
- シリコン製のケースや専用の外装ケースを使用する。
- 落下しないような位置に置いたり、ストラップを使用する。
水没
よくあるのが患者さんが送信機を付けた状態でトイレに落としてしまったケースがあります。
原因と対応
- 水没後はすぐに電源を切る。(患者さんには他の機器を割り当てる)
電池を外し、しっかりと乾燥させる。(ウエスなどでしっかりと水分をふき取っておきアルコール綿などで外装を清拭しておく)
乾燥後、電池を入れてテスターをしようしてモニター上に波形がきちんと表示されている確認。(確認できない場合はメーカー修理対応)
ベッドサイドモニターの不具合・故障・修理対応
波形が出ない・乱れている
送信機とならんでこちらも多いです。
原因と対応もほぼ同じですが、ベッドサイドモニタならではなものとして「設定」がされていないケースもあります。
原因と対応
- 該当波形のケーブルが抜けかかっているもしくは抜けている。(意外と多いです)
- 電極の貼り付け位置が間違っている。(貼り付け場所が書いてある物もあるのでそれに合った場所に貼り付けを行う。また、骨の上などは避ける。痩せている人は波形が乱れやすいので注意。)
- ケーブルの断線・破損(テスターを装着しモニターに波形が出るか確認し判断。あるいは信号が来ているかの確認などで判断)
- 該当波形の表示設定がなされていない(該当波形の設定が表示されるようになっているかを確認。)
- ぺースメーカの刺激が表示されない(こちらも設定がOFFになっている場合がある。もしくはそもそもペーシングをしていない場合も・・・ペースメーカのモードと心電図波形・HRを確認)
- 誘導を変えてみる。
付属品の破損(コード類やSpO2センサなど)
こちらも送信機と同じ対応になりますが、送信機の部品と違い中継ケーブルが間に入っていたりするのでどこからどこまでが正常でどこからが異常かを見極める必要があります。
原因と対応
- 基本的に該当箇所の交換し動作を確認します。中継ケーブルが絡んでいれば末端から交換していきます。
- 中継ケーブルから末端まですべて異常ということはあまり経験がありません。
- 送信機と同様で、絶縁テープなどで補修されていれば行わないように指導します。
自動血圧計が膨らまない
これは年式が古いものや、カフが長いこと使用されているものなどに多いです。
原因と対応
- ケーブル類がきちんと接続されていない(まずはここを確認)
- 手動測定できちんと空気を送る動作が行われているか?(空気が送られている気配があるのに膨らまなければカフからの漏れの可能性があるのでカフを変えてもう一度手動測定)
- 手動測定で空気が送られている気配がない(内部の故障の可能性が高いのでメーカーに修理依頼)
内部バッテリー異常・交換時期
こちらはテクニカルアラームになるので該当機器のメンテを呼んでの対応になるケースが多いです。(勤め先ではその対応ですが、他院では自施設で行っているところもあるらしい・・・)
外部バッテリーなら+ドライバーで交換可能ですが内部バッテリーはキャッシュや内部情報も消える場合があるため勤め先では基本メーカー対応になっています。
自動で電源がON/OFFされる
明らかに変な挙動がされており、一度電源を入れると電源をOFFにすることも出来ずON/OFFを繰り返す動きをする。
原因と対応
- バッテリーを取り外し、電源ケーブルのみで電源がON/OFF出来るか確認(動作確認が出来たらバッテリーの異常と判断。同様の症状なら内部故障の可能性が高いのでメーカー修理対応)
セントラルモニターの不具合・故障・修理対応
波形が表示されない・波形が乱れている
こちらも原因と対応はほぼ送信機・ベッドサイドモニタと同様になりますが、セントラルモニタならではな原因として、アンテナ線の劣化や異常・接続不良があります。
原因と対応
- 該当チャンネルと送信機・ベッドサイドモニターのチャンネルが同一か確認(まずはこれを確認!)
- 送信機の電池が入っていないor電池が切れかかっている(意外と見落としがち)
- 該当機器のケーブルが抜けかかっている。(これも意外と多いです)
- 電極の貼り付け位置が間違っている。(送信機・ベッドサイドモニター(記載がされていないのもある)に貼り付け場所が書いてあるのでそれに合った場所に貼り付けを行う。また、骨の上などは避ける。痩せている患者や乾燥気味の患者はやや波形が乱れることがあるので注意。その場合は誘導を変更するのも一つの方法です。)
- ケーブルの断線・破損(テスターを装着しモニターに波形が出るか確認し判断。あるいは信号が来ているかの確認などで判断)
- 受信感度が低い(該当機器を該当患者の部屋もしくは一番セントラルから遠いフロアに置き、ない場合もあるがセントラルモニターにある簡易スペアナで受信レベルの確認。または受信機を使って確認。)
- 該当波形の表示設定がなされていない(該当波形の設定が表示されるようになっているかを確認。)
- ぺースメーカの刺激が表示されない(こちらも設定がOFFになっている場合がある。もしくはそもそもペーシングをしていない場合も・・・ペースメーカのモードと心電図波形・HRを確認)
- アンテナ線の劣化(メーカによる修理対応)
- ホイップアンテナを使用している。(セントラルモニタから離れすぎると受信感度が低下するので簡易スペアナなどで受信感度を確認)
チャンネルを別のにして
こちらは送信機及びベッドサイドモニターの故障などで代替え機や貸出機が出た際に言われます。
セントラルモニターの「設定」を変更して使用可能チャンネルを振り当てます。
その際に、ゾーン管理で混線の可能性がある物は使用しないようにします。
○○の数値が表示されない
セントラルモニターにはあらかじめ表示させるものが設定されており、それ以外は表示をOFFにしているケースがあります。
まれに珍しいモニタリング項目が入ると表示されていないことがあります。
原因と対応
- 該当数値の表示項目を確認(OFFになっていることが多い)
最後に
今回は送信機・ベッドサイドモニター・セントラルモニターのトラブルシューティングについて書いてみました。
勤め先での経験した物を書いてみたので偏って入ると思いますが、臨床工学技士の養成校ではこういった事はあまり教えてくれないのでトラブルに当たらなければ技術や知識はつきにくいと思います。
最低でも病院内で使用されている医療機器の設定変更ができるパスワードや方法はメモに書いたりして忘れないようにしておきましょう!
今後も、新しい不具合や故障修理対応がでたら更新していきます!