送信機(テレメータ)のゾーン管理について
今回は送信機(テレメータ)のゾーン管理についてです。
適切にゾーン管理をすることで混信が防げるとされています。
一度きちんと仕組みさえ作ってしまえば管理は簡単になると思います。
注意
今回の記事はA型送信機(テレメータ)についての記事です。B型・C型・D型は含まれませんので注意してください。
ゾーン管理の経緯
同一病院内でテレメータのメーカーやタイプが異なるものが混在して使われても、混信しないようにする、安全保障の仕組みです。
使われる場所(ゾーン)ごとに、混信の生じないチャネル組み合わせになっています。
無線知識の無い人でも、ゾーン配置のチャネル組み合わせを遵守することで、混信を避けることができます。
チャネル組み合わせはテレメータ業界で統一し、ルール「EIAJ AE-5201A」として遵守することにしています。
デジタルテレメータになってから、混信を検出できるようにはなりましたが、避けることはできません。
引用:フクダ電子株式会社 A型医用テレメータチャンネル管理ツールver1.04 ch管理の経緯
ゾーンは10個に分けられており各ゾーンごとに対応するチャンネルが割り振られています。
ゾーン配置の考え方
同一フロアでの管理
同一フロアでは基本的に同一ゾーンで管理します(例:一階はゾーン2のみ使用)
同一フロアでチャンネル数が不足する場合はバンド(6000番台や5000番台といったチャンネルのこと)を変更して増やします。
ここで注意点として、同一フロアでもゾーン違いの同じバンドは使用できません。(例:ゾーン1の6000番台とゾーン2の6000番台が同じフロアにあってはならない)
階が違う場合のゾーン管理
1階・2階と階が違う場合ゾーンも変える必要があります。(例:1階ゾーン1 2階ゾーン3)
また、隣り合うゾーンを使用するよりも一個飛ばしのゾーン管理の方がより混信確率が減ります。
棟が異なる場合のゾーン管理
20メートル以上離れた棟で同一階下ではゾーンを変更する。(例:A棟3階ゾーン3 B棟3階ゾーン5)
ゾーン配置の注意点
棟が離れている・階が違っていても病院全体で同じチャンネルは使用してはいけません。
チャンネル管理のポイント
A型送信機(テレメータ)ではチャンネル設定をするとき基本的にバンド6000番台から使用していき、対応ゾーンのバンドがいっぱいになったら次に同じゾーンの5000番台→4000番台へと増やしていきます。
当院で実際に起こった事例紹介
チャンネル設定変更後いざ使用開始!とおもったらセントラルモニターに表示されない!
実は、セントラルモニターが古すぎて設定したバンドは表示されないということがわかりました。
その時設定したのが1000番台のバンド・・・
チャンネル管理のポイントで述べているように基本はバンド6000番台から使用するということが大事な理由がわかりました。
後で確認すると古いセントラルモニターはバンド6000~4000までが表示されるがそれ以下は表示されないとのことでした。
最近の新しいセントラルモニターではきちんとバンド6000~1000番台まで表示されるとのことです。
また、増築などで一度病院内の全チャンネルを見直したところ混信の可能性がみられるバンドが見つかったりなどしました。
最後に
送信機(テレメータ)のチャンネル管理をしてみると、きちんとゾーン管理がなされてないことがわかり混信が原因の医療事故防止にも繋がったと思いました。
また、メーカーさんに聞いた話では他病院からの同一チャンネルの信号が飛んできてセントラルモニターに表示されていたこともあったそうなので今後は電波管理にも力を入れていきたいところです。
参考文献
フクダ電子株式会社 A型医用テレメータチャンネル管理ツールver1.04