今回はシャントエコーなどのエコー画像をきれいに写し出すために必要な設定のゲインとフォーカスについて解説します。
ゲインについて
ゲインとは「輝度」の事で明るさの事をさします。
このゲインを調節することで画像を暗くしたり明るくしたりといった事を行います。
エコー装置をただ当てただけでは初期の設定にもよりますが明るさはどちらかに偏りがあり非常に見にくく、特にシャントエコーのような内膜の肥厚といったものを写し出すためには後述のフォーカスとともに「血管に合った設定」を行わなければなりません。
適切なゲイン設定値は?
具体的な数値は機器によるため説明できませんが、ゲインが適切であると体表面・深部ともに暗すぎずに全体が写っている程度だと思います。
ゲインが低い場合
ゲインが高い場合
適正なゲイン
最近の機種はワンタッチで最適化してくれる機能が付いたものもあるので一度確認してみてください。
また、据え置き器に多いですがSTC:Sensitivity time control (TGC:Time gain compensation)という機能がついている機種は上層や中層・下層といったピンポイントでの明暗調整が可能です。
左右にスライドさせるツマミがあればSTC・TGCが付いているケースが多いです。
フォーカスについて
フォーカスとは写し出されているエコー画像で「どこに焦点をあてるか」というのを調節する機能です。
こちらもゲイン同様血管に合わせることで血管がはっきりと描写され、血管内の状態など微細な変化がわかりやすくなります。
適切なフォーカスは?
適切なフォーカスは機種により小さな違いはあるもののほとんどは対象としている血管に合わせることです。
機種によりますが画面の左右どちらかに白色の三角マークや〇で表されることが多く、ツマミやタッチ・スワイプで移動させ対象の血管の深さに合わせます。
そうすることでより鮮明に血管や組織が描写された画像を作ることが出来ます。
例:フォーカスマークは黄色の丸の部分です。
フォーカスが浅すぎる場合
フォーカスが深すぎる場合
適正なフォーカス
機種によっては2点・3点フォーカスが可能な機種もあります。
このような多段フォーカスは一見便利に思えますが、プローブの素子によるビームを複雑に行うためリアルタイムでの表示に難がありピンポイントでプローブを当てるだけならいいのですが、プローブを動かす際には遅延が発生し画像がきれいに写るまでに時間がかかります。
主に長軸でのエコー下穿刺で使用されます。
最後に
今回はゲインとフォーカスについて解説してみました。
エコー画像は機器の設定で画像のきれいさをある程度作ることが出来ます。
特にエコー下穿刺などの操作介助を行う際は、キレイな画像を出すことにより手技の成功率・やりやすさが格段にアップします。
知っておいて損はないと思いますので、自身の施設でよく使用されるエコー機器のゲイン・フォーカス設定変更方法は覚えておくことをお勧めします。
参考文献
宮本照彦(2018)『バスキュラーアクセス管理研修会テキスト第三版』(エコーの原理と基礎 P45 )公益社団法人日本臨床工学技士会