心カテやVAIVTなどで使用されるシースイントロデューサーについて!

カテ室に関わりだしたころ、物品の名称や使い方などいわれるがまま出していたせいか使用用途がよくわからなかったり、

清潔野で業務をする上でどこを洗浄や充填して組み立てるのか?といった事があまりわかっていない状態で業務についていました。

特に臨床工学技士は物品関係や機械関係に関してDrからかなり聞かれることがあります。

そこで今回から少しずつカテ物品の解説をしていければと思います。

第1回目はシースイントロデューサーになります!

 

シースイントロデューサーとは

心臓血管カテーテル検査やVAIVTなどの際に血管へのカテーテル挿入部位の確保やカーテルの挿入抜去・入れ替えなどを安全に素早く入れ替えが出来るための補助を行うものです。

構造

中空構造を成しており、血管内に留置する先端から遠位側に逆流防止弁と三方活栓がついています。
また、血管内への挿入が行いやすいように親水コーティングがなされているものもあります。

 

セット内容

シースイントロデューサー(シース)はセット化されているものがほとんどで、
シース本体・ダイレーター・ガイドワイヤー・穿刺針・小切開用メス・シリンジが主にセット内容となっています。

セットはこのような形で収められています。
袋に入っている物もあります。

 

 

なんでも屋ME
画像の上がシース本体
画像の下がダイレーター

 

ガイドワイヤーの収められている鞘先端にプラスチックの蓋のようなものがありますがこれはシース内にガイドワイヤーを入れるインサーターの役割にもなるため当院ではセットから取り外した際は捨てないようにしています。

ガイドワイヤーは太さが0.025inc(0.63mm)0.035inc(0.89mm)の物があり、
一般的には橈骨動脈アプローチ時は0.025incのセット
大腿動脈部アプローチ時は0.035incのセットを使用します。
0.025incのセット物品のダイレーターには0.035incのガイドワイヤーは通らないので複数のシースが出た場合は注意が必要です。

 

一般的なシースの太さ

サイズは4Fr(1.4mm)~8Fr(2.7mm)が使用されており、治療・検査目的により使用する太さは違います。
勤め先では、CAGのみでは4~5Fr・PCIでは6~7Frとなっています。VAIVTは使用する予定のバルーンによって4~6Frを使い分けてます。
当たり前ですが、太いほどいろいろな物品が同時に使用できますが、その分血管への傷が大きくなります。
また、太いほど保持力が強い為折れ曲がっている血管に対してキンクがしにくいといった特徴があります。
太さは色によっても判別でき、画像の通り太さによって色が違います。(規格で決まっています)


4Fr:赤色
5Fr:灰色
6Fr:緑色
7Fr:オレンジ
8Fr:青色(写真にはありません)

 

一般的なシースの長さ

一般的によく使用される長さは7~25cmがよく使用されますが、アプローチ部位・治療方法によって適切な長さを選択します。
石灰化が強かったり蛇行が強い・側枝に迷入しやすいなどの症例では50~120cm程度の物が使用されることもあります。
VAIVTでは病変部までの距離が短い為、3㎝程度の物が使用されます。

なんでも屋ME
画像右側が3㎝シースです。
短い!

また、ガイディングカテーテル(物品をスムーズに治療部位へデリバリーするためのカテ)の代わりになっているものもあり、そのようなものは長さが長いです。

 

特殊なシース

基本的にシースは本体とダイレーターが同じFrサイズになっています。

ですが、画像のようにダイレーターは6Frでシース本体は5Frといったものが存在します。

なんでも屋ME
画像の上がシース本体とダイレーターが6Fr
画像の下がシース本体5Frでダイレーターが6Fr

このタイプのシースは、5Fr規格ですが6Frのガイディングカテーテルを使用することが出来るため、通常の6Frシースを用いるより血管へのダメージは少なく止血もしやすいといったメリットがあります。

ですが、シース本体を薄肉化しているため保持力は弱くキンクなどが起こしやすいので、操作に注意が必要と言われています。

また、ペースメーカ留置に使用するシースでピールアウトが出来るものがあります。
ピールアウトとは、シース本体の逆流防止弁付近から伸びている部分を引っ張ることで本体が裂け、シース本体を抜去できる仕様の物です。
リード挿入の際に使用されます。(リード挿入後はシースが逆流防止弁から抜去できなくなるため)

 

清潔野での準備

シースの三方活栓側からヘパリン加生理食塩水(以下へパ生)を注入し、チューブ内及び先端までの空気を押し出します。

注入後は写真のように三方活栓を閉めます。

また、ダイレーターも同様にヘパ生を流し込んでおきます。

へパ生が流し込めたら、ダイレーターをシースの逆流防止弁にゆっくりと押し当て挿入し、ロックします。


ロックが行えていないと血管挿入時にシースのみが進んで先端により血管の損傷が起きる場合があります。
ロックの方法はメーカーにより様々で、ダイレーターを押しあてただけで切り込みにロックされる物や、回してロックするものなど様々です。

ガイドワイヤーは鞘から外し、へパ生で濡らしておきます。

 

シース挿入までの流れ

  1. アプローチ部位に、セット内の穿刺針を用い穿刺を行い、外套を残します。
  2. 外套にセット内のガイドワイヤーを挿入し透視下やエコーで血管内にガイドワイヤーが入っているか確認。
  3. ガイドワイヤーを抜けないように抑えながら外套を抜去。
  4. ガイドワイヤー末端からシースイントロデューサーの先端を這わすように入れていき、ダイレーターの遠位側にガイドワイヤーが来るまで進め、ガイドワイヤーが抜けないように血管内へ挿入します。この時、皮膚が固いようなら小切開用のメスを使用したり、へパ生をシースへかけてあげると滑りがよくなり挿入しやすくなります。
  5. 挿入が出来たら、ガイドワイヤーとダイレーターを引き抜き、三方活栓側からヘパリンを投与します。
  6. 引き抜かれたダイレーターは再度使用することがあるので、血液を除去する為フラッシュしておきます。

 

まとめ

シースは心臓血管カテーテルやVAIVTではなくてはならない物品であり、アプローチ部位や治療目的によって太さや長さを考える。

清潔野での準備及び組み立ての際、ダイレーターとシース本体を雑に扱わないようにし、しっかりと気泡除去や洗浄を行っておく。

また、挿入後のダイレーターは再度必要になる場合があるのでフラッシュして血液を取り除いておく。

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