紆余曲折ありながらも臨床研究→論文投稿→アクセプト(accept)までできたのでそれの覚書きを記しておきます。
そもそも論文投稿をする理由としてはなんだったのかというと、「先輩の考え方よりも自分の考え方が正しいと認めさせるエビデンスが欲しかったから」というかなり不純な動機ではあったと思います。
実臨床において意見が食い違うことはままあると思いますが、自分が得意としている領域で業務に関わってもいない人から真っ向から反対されたのですが、エビデンスの有無に関してはお互いに全くなかったのは確かでそこをつかれると話がこじれて収拾がつかなくなってしまいました。
ただ理論上は自分が正しそうということは参考文献を調べたり、実際の患者さんを長期間観察していたため自信はありました。
この参考文献が曲者で、当時の日本語文献では全くと言っていいほどヒットせず、ほぼすべてPubMedから調べていました。
当時の収拾がつかなくなった際に「参考文献を出せ!」と言われ、「これです(英字)読んでください。」とプリントアウトしたのを出して相手が固まっていました・・・
実際の流れ
今回投稿したのはある症例報告についてです。
本来は複数の人数を確認していたため原著を目指していましたが、協力者も少なそうであり確実にこれが原因だっただろ!と思えるような人が少なかったので。
症例報告をするにあたって読み込んでいたのが、「論文作成ABC:うまいケースレポート作成のコツ 著者:松原 茂樹」という本です。
これはCEさぼさんに教えていただいた物でした。
勤務先では、教育や研修・学会発表・論文作成などを教えてくれる人は同職種では一人もいなかったため、完全に独学になりました。
まずしたことは、投稿先の投稿規定を確認すること。
その中で記されている既定の書式をWordにセットアップしました。(句読点や行ごとの文字数・字体など)
その後は大きく段落を分けて「要旨・緒言・方法(症例)・結果・考察・結語・文献」といった具合に記載し、一番書きやすいところから書きはじめました。
英語に関しては、先に日本語で書いた後にまとめてDeepLで英訳してもらい英単語など規定で定められているものに変換し直したりしました。
ある程度しか分かんない・・・
もちろんおかしなところはネットで単語を調べたりしてました。
英語もっと勉強すればよかったなーと心の中で何回も思いました。
はじめての電子投稿
今回応募したジャーナルは電子投稿で行うことを投稿規定により設定されていました。
論文投稿自体初めてなので、実際にジャーナルへ発送する方法とどちらがいいのかわかりませんが割とスムーズにはできたと思います。
投稿時に気になっていたのがカバーレターです。
これは電子投稿の際にアップロードする場所もなくどうすればいいのかわからなかったので直接担当者へ連絡を取り確認したところ、備考欄に記載したらいいとのことでした。
選ぶ基準として、名前をネット検索し該当のかたの経歴や所属などで今自分が投稿している論文に合った方を選ぶようにしました。
恐らく仮投稿の段階で編集委員会の方たちにある程度査読されおかしなところがあれば投稿は拒否されるのかと思います。
査読結果
投稿受付のメールから2ヶ月ほど経ったときに「査読結果のお知らせ」というメールが届きました。
恐る恐る開いてみると、「改訂」という結果がまず書かれその後に、編集委員会からのコメント・査読者からのコメントへ続きます。
改訂とは論文内容で査読によりさらに深堀してほしいところや誤字脱字など色々な指摘がありそれを「全て」直せば掲載しますよということです。
この結果自体はよくあることのようなのでこちらも気持ちの準備はできていました。
メンタルがえぐられたのはここからで、怒涛の査読者からのダメ出しの嵐・・・
これ直せるのか?と不安になるようなことも書かれていたりとその日の業務は落ち着かなかったです・・・
絶対に朝一から見るもんじゃないと思いました。
ひとまずプリントアウトして、落ち着いた場所でゆっくり見てみると「確かにここの表現はわかりづらいな」といった事が理解できはじめました。
改訂後の再投稿
追加での検証や査読での評価を一つずつクリアしていき、最後に訂正箇所をエクセルに一覧表形式でまとめ、再度電子投稿を行うように指示されていたので、指示通りに投稿を行いました。
この時、各査読者や編集委員会宛へのコメントをかける欄が設けられており、そこに査読をしていただいたお礼と訂正箇所をコメントでも記載しました。
一覧表でも一応確認はできますが、各査読者宛のコメント欄がわざわざ設けられていることから、自分が書いた査読結果の訂正部分がわかりやすいようにした方がいいと思い記載しました。
また、改訂作業において本文も再度投稿するわけですが、上記で示した参考にした図書において訂正箇所はわかりやすく色を分けたマーカーで表示するといいと書かれていたので、それにならってマーカーを引きました。
マーカーの内訳は編集委員会・査読者1・査読者2でそれぞれ別の色にし、指摘はないが査読結果により変更が行われた箇所も別マーカーにしました。
このマーカーの意味も再投稿時の編集委員会宛などのコメント欄に記載をしていました。
再投稿後
再投稿から結果は1ヶ月程度とはやくに結果が着ました。
結果は再度「改訂」・・・
コメントも辛らつなものになってきて、今報告しなくてもいいのではないか?と受け取れる内容でかなりメンタルが・・・
ですが、どうしても協力してくれた人たちのことを思うと世に出したい!という気持ちが強く、頭を抱えながら文章をひねり出し訂正していきました。
再々投稿になりましたが、前回と同じように編集委員会・各査読者へのコメントを添えて投稿となりました。
再々投稿後
流石にこれ以上は変えれんぞ・・・!と思いながらの投稿だったので投稿から2週間程度経過した後はほぼ毎日メールチェックしてました。
再々投稿後も結果は1か月後に送られてきました。
確認すると「受理」の文字が!
この文字を見た瞬間、心の中でガッツポーズしてた自分がいました。
論文投稿したのも初ですし、受理されたのも初、部署はじまって以来の出来事でもあり「初」ずくしでした(笑)
すぐにメールをプリントアウトし、共著者になってくださっている先生に報告に行きました。
この時先生が自分のことのように喜んでくれたのを今でも思い出します。
メールには今後掲載される予定の巻数と編集委員会からのコメントがあり、どういったことが評価されたかなどが簡潔に書かれていました。
また、掲載証明書の発行なども行えると記載されており、職場への報告と今回は掲載料など職場持ちの案件でしたので掲載証明書の発行をお願いしました。
この時、掲載受理のお礼を記載しました。
査読者までお礼が行くかはわかりませんが、長い期間付き合って論文を仕上げてくれたお礼がどうしても言いたかったので。
ちなみに掲載にかかる費用はこの時支払うのではなく、後日掲載後に請求書を送付するとのことでした。
掲載証明書は申請から数日で届きました。
受理後
掲載予定まで残り1ヶ月程度になろうとした時に、職場へレターパックに入れられた論文の刷り上がり原稿が送られてきました。
いっしょに入っていた用紙には○○日までに(到着から1週間程度で必着)最終校正確認を行って再度返信するようにとのことと、論文の別刷り注文が可能だが必要か?といった内容が書かれていました。
校正期間の短さにもビックリしましたが、刷り上がった論文を見ると「いつも見てる雑誌の形式に直されてて本物っぽく見える!自分のじゃないみたい!」と思いました。
校正用のものは1部のみで赤字で訂正して書き加えるといった感じになっており、すでに専門の方たちがなおされている箇所も記載されていました。
校正は共著者全員に見てもらおうと、コピーをとり期日がかなり短いですが最終校正のため是非見てくださいとお願いをして、変更箇所を記載してもらいました。
その際に共著の先生から「せっかくだし別刷りもらおうよ。僕払うから。」といってもらい、別刷りもいただくことに!(最低部数が50からとかなり多い)
なんとか速達で提出し、後は掲載を待つのみとなりました。
掲載後
掲載後の製本を確認すると、載ってる!(当たり前ですが…)
遂に世に出たんだな~としみじみ思いました。
SNSなどでも少し反響があったようで、何かしらの影響を今後与えられるのではないかと感じました。
もちろんいい意見だけでなく否定的な意見も見られたりもしましたが、今後どのようになっていくか他施設での検証も行われるのではないかと思います。
掲載から2週間程度たった後に請求書が送られてきて明細に、「英文校正費」なるものが入っておりほぼ全文書き換えならそうだよなと納得してました。(金額は数千円程度)
査読時に英語部分に関しては全く触れられていなかったのもコレがあるからかと思いました。
最後に
今回人生で初めて書いた論文がアクセプトされ、掲載されるまでの一連の流れを書いてみました。
学生時代は論文を書くような人間ではなかったのにどうしてここまでするようになったのか自分自身でも疑問ですが、人生において得難い経験をしたのは確かです。
協力して下さった方たちには本当に感謝しています。
今回の論文はまだ「種をまいた状態」です。
この「種」がどう成長していくのか自分の研究テーマの一つとしてこれからも続けていき、いずれは「原著」として報告ができればなと考えています。
CEブロガーに紹介されました!
今回の投稿記事が、CEブロガーの一人である「CEミカタ」さんのブログに紹介されました!
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